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Since 1999/ふりふディレクターと振り返る <br>「これまで」そして「これから」 vol.1

Since 1999/ふりふディレクターと振り返る
「これまで」そして「これから」 vol.1

特集

ふりふをオープン当初から支えるブレーン的存在、 数々のヒット作を生み出してきたディレクター・永橋彩子。
1999年から今日まで続く「ふりふ」の足跡を彼女の記憶と共に懐古します。

【Collection/2005-2009】
ふりふがオリジナルテキスタイルを開始した2005年代は、東京・原宿を中心にアンティーク着物が大ブームに。現在のふりふのベースにもなっている2005〜2009年。この5年間をテキスタイル、ビジュアルと共に紐解きます。



2005 オリジナル浴衣から生まれた新たな強み



2005ポストカード

―オリジナル浴衣として初期に誕生した「ばら」は予想を上回る人気で大ヒット
「ばら」は花びらが舞っているように見せるために、一枚一枚向きや角度にとことんこだわって作った浴衣。本当に多くの方にご購入いただいた一着です。「ばら」のように肩から袖、裾にかけて柄が入っている絵羽柄の浴衣が当時は珍しかったこともヒットの理由になったと思いますが、この作品を多くのお客様に受け入れていただいたことで『他にはない』というふりふの強みを見出すことができたのだと思います。


<2005 archive> 百合ストライプ・ばら

―着物を思わせるテキスタイルが多い印象ですが、意識していましたか?
浴衣作りを始めた頃は、着物の柄行を意識してデザインしたつもりはありませんでした。ただ、浴衣そのものを一枚の絵として捉えていたのでこのようなスタイルになったのだと思います。“このほうが綺麗だから”それだけの理由でした。当時の浴衣は紺、白をメインとしたものが多かったのですが、たくさん色を使った浴衣があってもいいことを知り、彩りの多い浴衣を制作しました。


2006 コレクションの歩みを記すポストカード制作



2006ポストカード 海辺での撮影

―ポストカードの制作を始めたのもこの時期なんですね
オリジナルの浴衣を作り始めてからポストカードも作るようになったのですが、このときは全てが手探り状態。どうしたらより良く撮影できるのかを今よりずっと少ない予算の中で必死に模索していました(笑)。でも、今後コレクションとしてオリジナルのテキスタイルを作っていくからには、ビジュアルとして作品を残しておきたい気持ちが強かったんです。当時、店舗を拡大していたこともあり、浴衣の販売ツールとしてもポストカードは活用していました。


<2006 archive> パッション百華・桃藤尻・CAROL

―毎シーズン、浴衣のネーミングがユニークですよね
「CAROL」は、“もしロックスターの彼女だったら、こんな風に大柄の牡丹が描かれた粋な浴衣を着るのでは”という思いがあって名付けました。いい女しか着られない浴衣、そんなイメージがあったのです。私は色に対するこだわりが非常に強いので、この浴衣も自分のイメージ通りに仕上がるまで何度も作り直したのを覚えています。

2007 アパレル展開でオリジナリティを確立



2007ポストカード アパレルと浴衣と一緒に撮影

―浴衣と同柄のアパレルを展開した背景を伺いたいです
当時、洋服はセレクトアイテムの方が多かったのですが、浴衣と同じ生地でアパレルを展開したらよりふりふらしくなるのでは? と、思って始めたのがきっかけです。実際、和装に躊躇している方から、洋服だと取り入れやすいというご意見があったんです。その結果、他店にはない「ふりふのアパレル」ができたのだと思います。

<2007 archive> 怪盗ダリィ・さつき・蝶と葉

―「怪盗ダリィ」は2020年の現在もアパレル展開されるほどの人気柄ですね
「怪盗ダリィ」ができてからもう14年ということにもびっくりです。このデザインは、ベースの色にも陰影をつけて、より立体的に見えようにという点を工夫して作りました。着やすい色合いの茶色、紺、紫のカラーという見た目にも映えるカラー構成と、大柄のダリアが多くの方に気に入っていただけたポイントなのかなと思っています。

2008 ビジュアルで伝えるふりふの世界観



2008ポストカード イラスト入りのデザインに

―この頃からポストカードの見せ方にも個性が出てきたように感じられます
ビジュアルに力を入れるようになったのは、ふりふの世界観をもっと確立させたいという思いが強くなったからです。それまでビジュアルは、私のものづくりの延長にあったものでしたが、そうではなく“ふりふはこうあるべきだ”という思いをビジュアルからも出したかったんです。ただ、浴衣の柄が全然見えていいない写真もあるんですよね(笑)。イメージだけ伝わってくれればいいと思っていたので、わざとそのような構成にしたのを覚えています。

<2008 archive> ラブ&ピース・白雪

―動物が総柄で描かれている浴衣が誕生!
最初に浴衣の柄として取り入れたのは猫だと思いますが、全体に入れたのは「ラブ&ピース」が初めてですね。動物のデザインは顔が大事なので目の大きさやシルエットなど、バランス良くすることが大変でした。そして、鳩が勢いよく羽ばたいているようにというのもこの浴衣で意識したポイントです。柄として載せたときに白い動物は程よく抜け感が出てきてすっきり見えるので、鳩以外にも、白鳥やウサギなど白い動物はよく登場しています。

2009 約束の一冊、初のムック本発売



2009ポストカード モデルにバレリーナを起用

―2009年は花柄が多いシーズンになっていますね
前々年の「怪盗ダリィ」のころから大柄人気が高まったこともあり、毎年大きい花柄は意識して制作していました。ふりふの方向性や得意なデザインが見えてきたのもこの時期だと思います。「芙蓉」では、お花の上に小さなてんとう虫がこっそり描かれているのですが、そういう小さな楽しみを隠すのが好きなんです。「実は…」という感じの隠れキャラやエピソードはたくさんありますよ。

2009年発売 ムック本「ゆかたとわたし」


―ふりふ初のムック本が発売された経緯を聞かせてください
ふりふに勤めていたスタッフが出版社に転職する際に、「いつかふりふの本を出そうね」と約束をして退社したんです。それが現実となったのが、初のムック本を作ることになった経緯です。本当に手作り感のある一冊で、表紙、巻頭ページにデザインで入れられている柄は全て手作りの消しゴムハンコからできているんですよ。レースの半襟を付録につけたことも当時としては挑戦でした。今見返してみてもかわいいと思える、いろんな思いのつまった一冊です。

<2009 archive> 芙蓉・椿小町・星屑ゆかた

―立体的なパーツがついた「星屑ゆかた」はかなりセンセーショナルな一着ですね
これは洋服のブラウスのイメージから誕生した浴衣で、自分の中でもトライした部分の多い作品でした。縫製だけ浴衣の縫製屋さんにお願いをして、あとは洋服の縫製屋さんに手作業で仕上げてもらったんです。そのため数量も限定されていて、トータル20着ほどしかできない超限定品でした。今ではとても考えられない作業ですが、いい仕上がりになったと思います。


―2005-2009の「これまで」

この5年間はまだまだ「ふりふ」を形成している最中でしたね。ブランドもできたてでしたし、オリジナルの浴衣や洋服を出すなど、いろんなことにトライして攻めていた時期だったと思います。今振り返ってみて、この時期が今のふりふのベースになっているんだなと感じました。

次回は【Collection/2010-2014】をお届けします!お楽しみに。
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