
Since 1999/ふりふディレクターと振り返る
「これまで」そして「これから」 vol.3
特集 ふりふをオープン当初から支えるブレーン的存在、
数々のヒット作を生み出してきたディレクター・永橋彩子。
1999年から今日まで続く「ふりふ」の足跡を彼女の記憶と共に懐古します。
【Collection/2015-2020】
これまでのアンティークブームが定着し、再び粋でモードな波がきつつある現在。浴衣のトレンドと同様に、ふりふにとっても大きな変化があったというこの5年。これまであえて寄せることのなかった和の世界を取り入れたことで見えてきた新たな“ふりふらしさ”。これまでのあゆみと共にこれからのビジョンを聞きました。
2015 パーティーと、ユーモアと
―「星砂のパーティー」はとてもユーモアなカタログですね
このシーズンは、イラストレーターの若林夏さんのイラストが加わることでコレクションの世界観がより具現化すると思い依頼をしました。その結果、イラストと浴衣が見事にマッチして大成功だったと思っています。また、カタログ自体もにぎやかでハッピーなものにしたかったので、ADの方と話し合いながら写真の配置やサイズ感など、レイアウトにもこだわって仕上げました。
―幾何学と手描きがMIXした「キャマラード」が大人気に
フランス語で“友達”や“仲間”という意味の「キャマラード」は、浴衣に描かれているクジラやマンボウなどの海の仲間をイメージしてネーミングしました。ひとつの生地の中に、幾何学とモチーフが入るという当時あまり見かけないデザインでしたが、モチーフのひとつ一つが細部まで丁寧に描かれているんですよ。個性の強いデザインだと思いますが、「星砂のパーティー」というテーマの中の「キャマラード」としてデザインの趣旨が伝わりやすく、多くの方に手に取っていただけたのだかなと思っています。
2016 アパレル的なアプローチ
―「マリンロープ」では、これまでの浴衣と比べ変化があったと伺いました
「マリンロープ」くらいから図案をアパレルの図案家さんにお願いするようになったんです。そうすることで洋服的な図案になり、線の描き方や色の塗り方など、私の中ではとても新鮮で変化のあるコレクションになったと思います。また、夏を連想させるものなので「水」に関連するキーワードはよく出てきています。テーマのくくりが大きいので図案も考えやすく、考えているのがとても楽しかったです。
2017 あひるが麻の葉と出会った理由
―2020年の現在もリリースされている「姉萌音」の誕生
ここで「姉萌音」が登場したんですね。この浴衣はリリースをした2017年から2020年の今までずっと愛されている人気の柄です。この時期は“ただかわいいだけじゃ物足りない”、“粋でカッコいい浴衣が着たい”といった流れがじわじわときていたころでした。この年をきっかけにトレンドが大きく変化していったのではと思っています。
—「あひるのお散歩」は、あひると麻の葉の組み合わせなんですね
麻の葉とあひるのモチーフが出会った由来は、あひるの足跡が麻の葉に見えたからなんです。それが柄になったら可愛いなと思ってデザインしました。この浴衣は何度も練り直した作品なので印象深いです。私の中には麻の葉からポンとあひるが抜け出たようなイメージがあり、あひるの周りを囲む線(糸目)をとにかく細くしたかったんです。その線の細さを求めてやり直しを繰り返しました。こだわりぬいた結果、ベストな状態で完成させることができたのでよかったです。
2018 色の組み合わせの妙

2018 ポスターカタログ 「キカガクテキ日本昔話」
―テーマが「キカガクテキ日本昔話」と、どっぷり和の世界ですね
東京五輪の開催が近づいてきて、世の中も「日本」や「和」の世界を見直し、“日本かっこいいじゃん!”となりつつある空気を感じました。ふりふとしても、このタイミングで思い切ってテーマを「日本」に向けることで、新たなラインナップを作りたいという思いがありました。改めて日本の昔ばなしを見返してみるといろんな発見があり、そのおもしろさにワクワクしました。物語を図案に落とし込むのは難しかったのですが、細部にまでこだわってデザインしました。
―「フウセンパズル」は線や色の配置が独特ですね
「キカガクテキ日本昔話」というテーマからもわかるように、全体を通して幾何学的な要素は入れたかったんです。「フウセンパズル」については、“色の組み合わせの妙”という部分を意識していました。色が線に見えてそこから面に見えたり、不思議な配色で色を重ねたら幾何学っぽく見えると思ったんです。何通りも選択肢があるのでデザインが完成するまで試行錯誤しましたが、それも楽しみながら作りました。
2019 巡り巡って辿り着いた和
―ふりふらしさは残しつつも、和の要素がまた濃くなったように感じます
そうなんです。でも、「花とあんみつ」というテーマを決めたからといって、ただお菓子を描けばいいということではないので、いつもテーマ設定とそこからの広がりには苦戦しています。ただ、このシーズンはモチーフをわかりやすくしないといけないと思ったので、和菓子がたくさん散らばっているんです。白玉や寒天を転がしたり、実際に買ってきた京都の飴をそのまま図案に使ったりもしました。日本の和菓子が可愛くてまた絵にもなり、デザインするのが楽しかったです。
2020 「これまで」そして「これから」
―2020年現在、浴衣の流れとは
5年前に比べてだいぶ浴衣のトレンドが変わってきたなと感じています。最近は色味も柄も落ち着いてきて、モードなテイストが好まれるようになり、今までよりも洋服的な要素が濃くなってきているんです。「マジックブーケ」では、生地を途中で切り縫い合わせるという、普通の浴衣ではやらない縫製をしていますし、透け感のある素材も使用しています。洋服でトレンドになっている透け素材を和装でも提案したんです。そういったことからも、今後は今まで以上にこだわりを強く出していく必要があると感じますし、これからまた新たなステージに入っていくのだろうなという予感がしています。
―2015-2019の「これまで」そして「これから」
この5年は大きく流れが変わり、新たな変化を求められた5年間でした。ある意味、“トレンドを作れるふりふでありたい”と、常に思いながら作品と向き合っています。そして、この先の5年は価値観の変化の年になっていくと思います。積極的にいろんなことにトライして、ブランドが成長していけばいいなと思っておりますので、これからのふりふもたのしみにしていてください。
3回に渡ってお届けした、“Since 1999/ふりふディレクターと振り返る「これまで」そして「これから」”はいかがでしたでしょうか。ふりふの15年分の思い、そしてテキスタイルアーカイブをたっぷりとご覧頂けたかと思います。Instagramにてアーカイブ浴衣の人気アンケートを実施します。1位に選ばれた浴衣は来年復刻するかも!?こちらもぜひ参加してみてください。
>vol.1【Collection/2005-2011】
>vol.2【Collection/2012-2014】
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